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ユニバーサルデザインへの取り組み

商品開発ストーリー

開発者・中川さんにお話を聞いてみました。

いつごろから開発はスタートしたんですか?

中川:
2002年春頃からスタートしています。2004年1月より正式に発売したので、開発には2年ほどかかりました。

取っ手の位置が真ん中なのでびっくりしました。
普通のドアは端っこですよね。

中川:
折り戸の場合、普通のドアのように取っ手がドアの端にあると、実は遠くて手が届きにくいんで、閉めにくいんです。車いすの方だと、さらに手は届きにくくなります。
取っ手を真ん中に持ってくると手が届きやすくなって、楽に閉められるんです。
実際にドアを触ってみてください。

ディアード

うわ~!ほんとですね。これなら楽に閉められますね。

中川:
それからこの、ロックも評判がいいですよ。
誰でも簡単に操作できるよう、普通より大きめになっています。指一本でも操作できるくらい軽いので、手や指に障がいがある方もラクに使えます。

ディアードのロック機能

どうしてこのドアのアイデアが生まれたんですか?

中川:
省スペースでみんなが使いやすいトイレを作るためにはどうしたらいいのかを考えていたんです。それで、最初は「引き込み戸」を考えました。

引き込み戸って始めて聞きました。

中川:
右の写真が実際の商品です。この引き込み戸は、デッドスペースが小さくて省スペースなので車いすの方が使うトイレによく使われていました。
ただ、障がいが重い場合、ドアを開けることができない人もいることが分かったんです。
そこで、さらに改良しようとしたときに「今まであまりトイレで使われていなかった『折り戸』を使ってみてはどうかな」と思いついたのが始まりです。

引き込み戸

折り戸なら聞いたことあります。

中川:
折り戸はもともとクローゼットやバスルーム、電話BOXなどに使われていました。みなさんも必ず使ったことがあるはずです。それほど馴染み深い折り戸ですが、身体特性がいろいろな人が使う公共のトイレにそのまま持ってきても、「使い方がわかりにくい」とか「閉めにくい」とか、いろいろな声がありました。従来の折り戸に『ユニバーサルデザイン』に対する意識が足りなかったことが原因です。

それで、ユニバーサルデザインの折り戸をつくることになったんですね。

中川:
そうですね。同僚と試作室でアイデアを練りました。
『吸盤がついた取っ手(写真)』をモデルのドアにくっつけながら取っ手の位置を決めていたときに、
「折り戸の場合、取っ手はドアの真ん中が使いやすい」
ということに気がついたんです。
「それならロックも真ん中がいいよね」
こんな風にして、2日くらいで大枠のアイデアは固まりました。

大活躍の吸盤

2日で!すごいですね。新商品のアイデアがそんなに早く固まるなんて。

中川:
短時間で集中してアイデアをカタチにしたので苦労はしたのですが、今思えば一番楽しい時間ですね。

開発までには苦労もあったんですか?

中川:
本当に苦労したのはディアードのモデルができてから量産品として商品化するまでです。品質を高めて、かつ、コストパフォーマンスをよくするために、トライ&エラーを繰り返します。どんな商品を開発するときでも同じですが、製品の完成度を80%くらいから100%にする為に、大変な労力と時間を使いますね。

それでやっと完成ですね。

中川:
いいえ、まだ完成ではありません。それから検証実験をしました。車いすの方、杖の方、弱視の方、全盲の方、手が不自由な方、高齢者、子連れの方、カートを操作している方など、のべ50人位の方に実際にドアを使ってみていただき検証しました。その中で使用した方に、「取っ手やロックの位置やカタチがいい」、「ドアに指が挟まらないので安全」といった高い評価をいただくことができました。
これでやっと完成に至ったんです。

からだの不自由な人も使いやすいドアになったことが証明されましたね。

中川:
ディアードという名前の由来は、「dear(ディア)」と「door(ドア)」の略称で、「使う人へ愛を込める」という意味です。使う人みんなが、からだが不自由な人もそうでない人も、心から「いいね」と言ってくれるドアを目指しました。

中部国際空港「セントレア」にも、ディアードが採用されているんですよね。

中川:
中部国際空港には、ユニバーサルデザインのドアとしてこのディアードが採用されました。現在270セットのドアが納入されています。

中部国際空港に納められたディアード

折り戸が並ぶ姿は圧巻ですね。セントレアに行く機会があれば、注目してみます。
最後に、今後のUD商品の開発に向けて、意気込みやメッセージをお願いします。

中川:
ドアを使いやすくするだけでトイレのユニバーサルデザインへの配慮がされた、といえるわけではありません。トイレ空間の広さ、便器や、ドアの位置などいろんな条件が重なってはじめて使いやすいトイレが実現できます。
現在も、石川県リハビリテーションセンターと石川県工業試験場に支援していただき、障がいのある方と共に検討・評価を重ね、より多くの人が利用しやすいトイレ空間を考え続けています。

検証実験の様子

ユニバーサルデザインに、終わりはありませんね。

中川:
そうですね。
トイレ空間だけでなく、病院の診察室やオフィスや工場の出入り口など、まだまだユニバーサルデザインが配慮されていない場所も多いです。そういった場所でも、みんなが使いやすいユニバーサルデザインドアを開発してみたいです。

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コマニーでは、ただ商品を作るだけでなく、商品を活かした最適な空間プランをお客さまに合わせてご提案します。ユニバーサルデザインに配慮した空間づくりに関して、お気軽にご相談ください。図面作成のお手伝いもさせていただきます。
 

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