
1間仕切りメーカーから間づくりカンパニーへのアップデート
私たちコマニーは、「間づくり」によって幸福をカタチにする「間づくりカンパニー」です。
事業内容は、オフィスや工場、福祉施設、公共施設などで使われるパーティション(間仕切り)やドア関係の開発、設計、製造、販売および施工をメインとしたメーカーになりますが、私たちが事業を通じて実現していることは、コマニーに関わるすべての方々がウェルビーイングになるための「間づくり」です。言い換えれば、コマニーは「幸福な人づくり」をしている会社なのです。
コマニーは60年以上にわたり、間仕切りをつくり続けてきました。一般的には「間仕切り=空間を分けるもの」ととらえられがちですが、私たちはそれを「新たな間(ま)を生み出すもの」と考えています。つまり、間仕切りの本質は「間を“区切る”」ことではなく、「間を“つくる”」ことなのです。
この「間づくり」の考え方が生まれたきっかけは、私たちにしか描けない独自のビジョンを見つけ出すことを目的に開催した、あるワークショップでした。「空間ビジネス」や「間仕切り」に対するネガティブな要素を出し切っていくワークの中で、従業員から「悲しいパーティションってあるよね」という声や、不満がある感情を「マジ切れる」という言葉で表現したときに「これはコマニーらしくない」と強く感じたのです。そこから、私たちが目指したいのは「間を切る」のではなく、「間をつくる」という発想が生まれ、「間づくり」というキーワードが誕生しました。
今までも「間(ま)」の価値を考え続けてきましたが、間を「仕切る」から「つくる」へと視点を変えただけで、私たちが貢献できる可能性が大きく広がったと感じています。
「間づくり」は単なる空間設計を超え、人々がどのような体験や感情をもつかを重視する考え方であり、人間を中心とした設計やデザイン思考にも通じるものです。この言葉が生まれたことで、コマニーらしい特性や価値観を反映した独自の方向性が明確になりました。
「よい間」が生まれることで、人と人との関係性が豊かになり、一人一人が自分らしく光り輝ける社会を実現できると信じています。私たちは、目の前の課題を解決するだけでなく、人と人との関係性そのものを整えることに価値を見いだしています。
そして「間づくり」の可能性を追求することで、人と人が繋がり、関係性が深まり、そこから新たな価値が生まれる。その循環こそが、私たちの目指す未来なのです。
2人を幸福にするビジョン「Empower all Life」
私たちが2030年にまでに目指す姿は「Empower all Life ~一人一人が光り輝く社会に貢献~」というものです。「企業は世の中の幸福に貢献するために存在すべきである」という信念に基づき、「すべての人が光り輝く人生を送るために、より良く働き、より良く学び、より良く生きるための持続可能な環境づくり、人づくりに貢献する」ことを使命としています。
人は各々の生まれ育った環境が違い、それぞれが強みや個性をもっています。そうした違いをお互いが認め合い、活かし合うことで、一人一人が自分らしく光り輝ける社会こそが、私たちの目指す幸福のカタチです。その中で大切なことは、「自分らしくあることに対して不安を感じることがなく、自分の良心や志に正直に生き、可能性を切り拓くための挑戦ができる環境」を整えることです。そのような環境が整ってこそ、人は本当に自分らしく生きられると考えています。
「Empower all Life」は2030年へのムーンショットであり、具体的な目標として社会的インパクトの指標である「1億人のWell-being向上」と「環境負荷50%削減」を掲げています。
そして、私たちの事業モデルである「COMANY ∞(メビウス)モデル」は、プロダクトやサービスを通じて社会にどのように貢献するかを示すだけでなく、関わるすべてのステークホルダーの幸福にどのように貢献するのかを表しています。この∞モデルを持続的に循環させることで、地球環境と調和しながら、従業員、お客様、お取引先様、地域社会により大きな幸福を届けていきたいと考えています。
目標を達成するためのアプローチとして、私たちは常に社会課題を発想の起点とし、それに対するソリューションを整理した上で、商品開発へと繋げています。社会課題の解決を軸にした開発姿勢が、社会的インパクトの創出に直結しているのです。
例えば、「高耐震間仕切シンクロン」は、震度7相当にも耐えうる設計で、震災リスクを軽減し、安心・安全な空間づくりを実現しています。このシステムを一番の普及商品であるスチールパーティション「Xis(エクシス)シリーズ」に標準搭載することで、2030年のウェルビーイング到達見込みを137万人から6,842万人まで大幅に向上させることができると想定しています。
また、働き方改革や顧客ニーズの多様化を受け、場所や時間の柔軟性がより求められるようになり、オフィスの役割も変化してきています。私たちは、人と人との繋がりや、偶発的な交流や創造性を刺激する商品である「Ricola(リコラ)」「Xis-Frame(エクシスフレーム)」などを積極的に展開しており、コミュニケーションの質を高める空間づくりにも注力しています。
今後も社会課題に真摯に向き合いながら、商品を通じて人々のウェルビーイングを高める取り組みを継続していきます。1億人という目標は大きいですが、着実にインパクトを積み重ねていくことで、実現可能だと信じています。
3コマニーの魅力は「理念」にあった
人的資本経営の必要性が高まっている中で、コマニーは「人づくり」にも力を入れています。
私たちが「人」を大事にする理由は、創業から間もなくして大きな経営危機に直面したのがきっかけです。昨日まで苦楽を共にしてきた仲間たちが、一人、また一人と会社を去っていったのです。私の祖父である創業者は、大事にしていた従業員を守れなかった悔しさ、悲しさの中で、「私たちは企業としてもっと本質的な魅力が必要だ」と気づきました。どうすれば、従業員が愛着をもち、希望をもて、安心して将来を託せる会社になれるのか。その問いを突き詰めていった結果、たどり着いたのが「本当に大事なのは、金銭ではなく『心』である」という答えでした。
この出来事をきっかけに「心をベースとした経営」という考え方が生まれました。そして、私たちは「人道と友愛」という精神を経営の軸に据えることにしたのです。人として正しい道を歩み、仲間を家族のように愛する。その想いが、私たちの企業文化の根幹になり、何より大切にしている「コマニー理念」に繋がっています。
当社の理念には、「コマニーに関わるすべての人々を本気で幸福にしたい」という強い想いが込められています。
一、我等の精神は人道と友愛である
一、我等の生活は共存共栄の中に成り立つべきである
一、我等の使命は社会に貢献すべきである
一、我等は知識を高め技術を磨き絶えず前進すべきである
一、我等は余暇を楽しみより豊かで幸福な人生を送るべきである
この社是は単なるスローガンではなく、私たちの行動指針であり、経営の根幹となっています。
その中でも「人道と友愛」という言葉は、最もコマニーらしさを表しているように感じます。「人道とは、成長と貢献によろこびを感じる生き方」のこと。そして「友愛とは、自分も自分以外のすべての人も愛する心」を意味します。この2つの精神をベースに、私たちは持続可能な社会の実現を目指しています。変化の激しい時代だからこそ、誰もが自分らしく社会に参加し、お互いを尊重し合い、共に生きる「共存共栄」の社会が必要だと感じています。そして、それを実現することが私たちの役割だと考えています。
4 コマニーに関わるすべての人々と「間づくり」で共存共栄を目指す
「Empower all Life」の実現によって、コマニーに関わるすべての人が真に幸福になっていただくために大切にしていることは、「共存共栄、社会に貢献、技術向上、豊かで幸福な人生」を共に歩むパートナーとして、関係性を構築することです。
そのためには従業員をはじめ、お客様、お取引先様、地域社会、地球環境など、すべてのステークホルダーとの関係性、つまりは「間」を大切にしていく必要があります。その「間」を通じて調和のとれた関係性を築き、新たな価値を創造することが、私たちが大切にしている「人道と友愛の精神」だと考えています。
この考え方が浸透しているおかげで、よく社外の皆様からは「コマニーの従業員は人が良い」というお言葉をいただきます。しかし17年前、私が他の会社で勤めた後にコマニーへ入社した時は、今とはまったく違った印象をもっていました。しっかりした理念はあるものの、どこか冷たさを感じる人たちが集まっている会社だな、と感じたのです。
そこで、まず取り組んだのが「コマニー理念」の全面改訂でした。当時の社長であった父や叔父、弟たちと共に約2年をかけて見直しを行い、その中で「経営の理念」を最初に掲げる構成へと変更しました。
経営の理念 「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献する」
今思えば、この「経営の理念」の刷新が、今の「人づくり」を加速させたと感じています。
それ以降、従業員の幸福を最優先に考え、様々なことに挑戦してきました。毎年実施している「理念研修」では、単に理念を学ぶだけでなく、シェアリング(対話)を通じて自身の働き方や価値観、人生観について本音でわかちあう場を設けています。
本音をわかちあうには勇気が要りますが、だからこそ意味があると考えています。お互いの価値観や想いを尊重し合いながら対話することで、理念が「自分ごと」として深く根づいていきます。理念は押しつけるものではなく、一人一人が自分の言葉で語り、実践できるようになることが大切だと考えています。
また、新卒採用の基準が「めっちゃええやつ」というのもコマニーらしさだと感じています。今も新卒採用の最終面接は私が行います。面接では対話の中身も重要ですが、その人が醸し出す雰囲気も大切に観るようにしています。その人の生き方や考え方が表れるのは、言葉そのものの上手さよりも、それを言っている本人の人柄や全身から発せられるエネルギーの方が、その人の素晴らしさに気づくことができるからです。入社後も4カ月の新入社員研修を通じて、コマニー理念や社会人としての基礎知識、同期との絆を深めることを大切にしているのも、コマニーらしさだと感じます。
コマニーという場は単に仕事をするのではなく、私たち一人一人が本当に生きたい人生を生きるためにあります。仕事を通じて自分の成長を実感し、誰かの役に立てているという貢献によろこびを感じること。それが人間の本質的な幸福に繋がると信じています。そして、その道のりを友愛の心をもった仲間たちと共に歩む。そんなチームを、私たちは本気で実現しようとしているのです。
お客様との関係については、単なる取引関係ではなく、パートナーシップのもとで共に未来を描く同志だと考えています。お客様の要望に応えるだけでなく、「どうすればもっと幸福になれるか」「どのような未来を実現したいのか」といった本質的な問いに寄り添い、共に価値を創出していくことが私たちの「間づくり」です。お客様のウェルビーイングを実現する同志として、今後も関係性を構築していきたいと考えています。
お取引先様もまた、お客様のビジョンを共に実現する同志です。私たちのビジョンはお取引先様のビジョンでもあり、逆もまたしかりです。お互いに率直に意見を交わし、しっかりと受け止め合いながら、同じ目的に向かって歩む「ビジョンパートナー」としての関係を築いてまいります。
またこれからの社会では、誰一人取り残さず、一人一人が自分らしく光り輝くためには地域社会との「協創」が不可欠だと考えています。行政、教育機関、企業、市民がそれぞれの役割を超えて連携し、強みを活かし合うことで、これまでにない循環型社会を実現できると信じています。
地球環境との共存については、企業活動をする上での大前提です。環境負荷の低減や環境配慮型製品の開発、省エネ・再エネ・リサイクルの推進など、様々な取り組みを通じて、地球環境の保護に貢献していきます。
以上の考えに基づき、コマニーは今後も「間づくり」を軸に、ステークホルダーの皆様と共に持続可能で豊かな未来の実現に邁進してまいります。
5 間づくりでEmpower all Lifeを実現する
2030年に向けたムーンショットの実現にあたり、私にはひとつ信じていることがあります。それは、「人間の本質的なよろこびは、良心に正直に生きること」だということです。
人には誰しも良心があり、それを磨き、人に優しく、思いやりをもって世の中の役に立とうとすることは、人間としての本質的なよろこびに直結していると感じています。人にはそれぞれ、生まれもった強みや個性があり、その人にしか果たせない唯一無二の使命があります。私には私にしかない価値があり、あなたにはあなたにしかない価値がある。一度きりの人生の中で、少しでも多くの人の役に立ち、世の中に貢献することこそが、人間の生まれもった使命ではないでしょうか。
そして、その使命を果たすために重要なのが「間づくり」なのです。
人と人との関係性、人と空間、制度、システム、設備との関係性。すべては「間」、つまり関係性で成り立っています。その「間」をどう生成するかが、人間の本質的な幸福に繋がると私は確信しています。
最後に、私たちは創業の精神である「人道と友愛」を胸に、「Empower all Life」の実現に向けて、変えるべきことは大胆に変え、新たな挑戦にも積極的に取り組んでまいります。
そして、これまで培ってきた技術力を活かしながら、世の中にとってなくてはならない企業であり続けたい。未来に向かって、人々が自分らしく光り輝く社会づくりの一翼を担い、トレードオフがなく共に幸福になる世の中を創り出していきます。