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トランスジェンダーの性自認に沿ったトイレ利用、 シスジェンダーの意識に変化

サステナビリティ
2023/06/08

「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」による意識調査 結果報告

トランスジェンダーの性自認に沿ったトイレ利用、
シスジェンダーの意識に変化

~金沢大学、コマニー、LIXILの産学共同研究会が報告~

2023年6月8日
2023年8月8日改訂

 間仕切りで新たな価値を創造する間づくりカンパニーのコマニー株式会社(本社:石川県小松市、代表取締役社長執行役員:塚本健太)は、国立大学法人金沢大学、ならびに株式会社LIXIL (本社:東京都品川区、社長:瀬戸 欣哉)と共同で発足した「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」(以下、本研究会。座長:岩本健良 金沢大学人間社会研究域人文学系 准教授)にて、トイレのオールジェンダー利用に関する意識調査を行いました。

 本研究会では「トイレ利用は、人間の尊厳にもかかわる人権のひとつである」という認識のもと、「性自認注1に関わらず、利用しやすいトイレのあり方」を追求し、すべての人々のトイレ利用に関する人権が尊重される社会環境実現の一助となることをめざしています。
 2017年には、顔⾒知り同士が利用することで課題がより深刻になりやすいオフィスのトイレに焦点を当て「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する調査」を実施し、 2019年5月に結果を公開しました注2。また、研究成果の一部を『SDGsとトイレ(進化するトイレシリーズ)』(日本トイレ協会編、柏書房、2022年9月発行)に寄稿しました。

 5年後の2022年にはオフィスのトイレに加え、駅・ショッピングセンターなど不特定多数の人が利用する公共施設(以下、公共施設)のトイレについても調査を実施しました。  本リリースでは、この調査結果の速報として、この5年間でのトランスジェンダー注3のトイレ利用に対するシスジェンダー注4の意識の変化、およびオフィスと公共施設でのトランスジェンダーのトイレ利用実態などについてご報告します。
 その他の調査結果等、詳細については2023年秋ごろに公開予定です。

注)

  1. 性自認:自分の性別をどう認識しているか?という概念。
  2. http://iwamoto.w3.kanazawa-u.ac.jp/Report_on_Office_Restrooms_for_All_Gender_Use_all.pdf
  3. トランスジェンダー:出生時に付けられた性別(出生時に判断され、割り当てられた性別。日本においては戸籍や住民票に記載され、女性または男性の二者択一)と性自認が一致しない人の総称。当研究会においては、WHOなど国際機関の報告書などを参考に、トランスジェンダーを「自身の性別を、出生時に付けられた性別とは異なるものとして認識している人」と定義し、調査分析を実施。
  4. シスジェンダー:出生時に付けられた性別と性自認が一致し、それに沿って生きる人。

リリース内容のポイント

1.トランスジェンダーが性自認に沿ってトイレを利用することに対するシスジェンダーの意識
(調査 ステップ1/総回答者数:シスジェンダー56,361人)

  • 「どちらかといえば抵抗はない/抵抗はない」と回答したシスジェンダーは、オフィス、公共施設共に約7割。
  • 2017年の調査と比較して、オフィスでは「抵抗はない」が11.9ポイント上昇。
  • 性的マイノリティに関する研修やセミナーを受講したことのある人は、受講したことのない人よりも「抵抗はない」がオフィスでは4.6ポイント、公共施設では5.1ポイント高い。ただし、研修やセミナーを受講したことのある人は1割程度に過ぎない。

2.トランスジェンダーのトイレ利用の実態
(調査 ステップ2/総回答者数:トランスジェンダー325人)

  • 「利用したいトイレ」を利用できていないトランスジェンダーは、オフィスでは約4割、公共施設では約3割。
  • 「利用しているトイレ」も「利用したいトイレ」も様々であり、選択肢があることが重要。

その他、詳しい調査報告については、プレスリリース全文からご確認いただけます。PDFは下のボタンからダウンロード可能です。

座長 岩本健良先生のご逝去によせて 

このたび、「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」の座長であられた岩本健良先生が、2024年11月7日に急逝されました。ここに、深い悲しみとともに哀悼の意を表します。 

​​​岩本先生の研究は、親の学歴や職業など、出身による進学チャンスの不平等や社会的不平等に関することからスタートし、その後、不平等を生み出すしくみ自体やジェンダーによる不平等に対象を広げられました。 

1990年からは金沢大学に籍をおかれ、ご逝去の直前まで人文学類 現代社会・人間学プログラムの准教授として、ジェンダー学や教育社会学、特に性の多様性やLGBTQが直面する困難について、多くの研究を行われました。 

そうした中、2017年には「トイレ利用は人間の尊厳にもかかわる基本的人権である」との信念のもと、性自認に関わらず、誰もが利用しやすいオフィストイレの環境整備を目指し、わたしたちと「オフィストイレのオールジェンダー利用に関する研究会」を立ち上げ、調査研究を行いました。さらに、2022年には対象を公共施設にも広げ、「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」と名称を改め、再調査を実施しました。 

研究会の座長として、常にわたしたちを導いてくだった岩本先生のご尽力とリーダーシップがなければ、この研究の推進はあり得ませんでした。 

岩本先生は、社会の不平等の解消と人権擁護のために、常にご自身がなすべきことを考えられ、行動される方でした。その志半ばで急逝されたことは、本当に残念でなりません。 

岩本先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 
そして、わたしたちは先生のご遺志を引き継ぎ、すべての人々が尊厳を持って生活できる社会の実現に向けて、努力を続けてまいります。 
岩本先生、いままで本当にありがとうございました。 

2024年11月28日 

コマニー株式会社、株式会社LIXIL 「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」一同

  

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