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ステークホルダーとのエンゲージメント

カンボジア支援
パネルディスカッション

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□鼎談日: 2019年7月11日(木)

□鼎談者:
NPO法人グローブジャングル代表理事 森 絵美子 氏
NPO法人グローブジャングル副代表 楠 美和 氏
コマニー株式会社 代表取締役 社長執行役員 塚本 健太
コマニー株式会社 購買部外注仕入課 通次 和子

森絵美子氏

専門学校卒業後、大手スポーツメーカーへ入社。26歳の時に、「30歳・40歳なんてあっという間よ」の先輩の一言に急に焦り出し、会社を辞め海外へ。リュックを背負いバックパッカーとして一人旅35ヵ国目でカンボジアと出逢う。バコン村の寺子屋で、3ヵ月間の日本語教師を体験、カンボジアがさらに大好きになる。2005年11月、前身MAKE THE HEAVEN Cambodia Project発起、同月カンボジア事務所を設立。現地に駐在して、3年間支援活動に夢中になる。結婚&出産を機に日本に戻り、同団体の日本支部を設立。2016年10月仲間と独立をして、NPO法人Globe Jungle設立。現在は、子育ての傍ら、次のカンボジア渡航を楽しみに大阪支部で仕事をして、気がむいた時に家事をしている。

楠美和氏

短大卒業後、幼稚園の先生・保育園・ベビーシッターなど、子どもに関する仕事を9年続ける。20代の頃の大好きな物は、ブランド品とデパートと美容院と化粧品。目に見えるもので幸せを判断していたが、代表 森絵美子と出逢い、カンボジアストーリーが始まり、人生が180度変わりはじめる。アンコールワット遺跡近くの村で3ヶ月間、日本語をカンボジアの若者や子どもたちに教える。その後プノンペン事務所に転がり込み、スタッフとなり現在に至る。

NPO法人グローブジャングル https://glojun.com/
カンボジアで子どもたちの未来を創るサポートを行う団体。主に、孤児院支援や学校建設、貧困家族への就労支援を行っている。理念:つながっている同じ空の下、笑い合い、応援しあえる 「HAPPYの連鎖」を生むことを使命とし、当たり前の幸せの価値観を共に創造する。

塚本健太

コマニー株式会社の代表取締役社長執行役員。カンボジアに2回ボランティアとして参加。1回目は井戸掘り、図書館建設のきっかけを作る。今回のディスカッションでは経営側からの視点で参加。

通次和子

コマニー株式会社の外注仕入課に所属。中学生の時から海外に興味があり、第4回のカンボジア支援ツアーに参加。グローブジャングルが運営するパパママ大作戦に共感し、女の子のママ(里親)になる。

Q.カンボジアとの出会いや支援をするきっかけを教えてください


20代前半は自分探しをしていました。一生懸命、日々をすごしながらやり残したことないかを考えたときに海外を知らないと思い、どっぷり海外を知りたいと思いました。そして思い切って働いていた会社を辞め、英語もよくしゃべれないまま、片道切符でアメリカへ飛び出しました。それから世界を旅する中で改めて日本が素晴らしいと感じ、日本語教師になろうと資格をとり、オーストラリアで実習などをしていました。
そして29才ごろに旅の最後としてアジアを転々としていました。ベトナムからカンボジアに歩いて入ったとき、何か暖かさやいごこちの良さを感じました。 カンボジアは私にとって貧しいけど暖かい空気感や笑顔しかなく、この国で何かしたいと初めて思いました。その時の私にとってできることは日本語教師しかなく、日本語を現地の子供に教えていました。そしてお金がなくなって日本に帰ろうかどうしようか迷っていたときに生徒の家に招待されていきました。
そのときに家の環境や飲料水などの現状を知り、私にもこの環境を変えるために何か役立つことができるのではないかと行動して、その家庭に井戸を設置したのがカンボジア支援活動のスタートでした。


カンボジアと出会う前の私は、ブランド大好きで週末になると買い物をしていたような、そんな毎日を送っていました。ある時、代表の森と出会う機会がありまして、「バックパッカーをしている」「カンボジアで日本語を教えている」という、私とは全然違う生き方をしている人が世の中にいることを知りました。それから彼女のブログを読んだりしてカンボジアに引き込まれ、彼女がまたカンボジアに行くという時に、「私も行きたい!」とお話させていただいたのがキッカケです。
森の教え子に会った時に、子どもたちが目をキラキラさせて「先生を探しています!」、「もっと日本語を勉強したいです!」という思いをぶつけられて、3ヵ月間日本語を教えました。 その時に、「目に見えるものが幸せ」という価値観で判断してきた自分が、カンボジアを知ることによって「心の豊かさ」というもの知って、カンボジアに住み続けて本当に大好きになりました。そこで子どもたちと出会い、カンボジアで生きていくことを決めました。

塚本
私はカンボジアに2回行かせていただいて、1回目は井戸掘りと、学校訪問をしました。そこで、子どもたちが夢を描けないという状況を教えていただきました。今ある職業を知る機会もないから、将来の夢を描けないのです。「じゃあ何をきっかけにすればいいのか?」とお聞きすると、「本で世界が広がるのです」という話をいただきました。その時に一緒に行っていたメンバーと「じゃあ図書館を立てよう!」という思いになりました。実際に現地へ行き、「これは必要だ!」という良心の衝動に出会うということをカンボジアで体験できました。

通次
私はコマニーでの第4回目のカンボジア支援に参加させていただいて、その時には図書館が完成した状態でした。カンボジアの皆さんと言葉は通じませんでしたが、すごく人なつっこくて、私たちのことを歓迎してくださっていることをとても感じました。第1回のカンボジア支援ツアーが始まった時に、「絶対カンボジアへ行きたい!」という思いを会社の役員にお伝えし続け、第4回の時にメンバーに選ばれました。現地では森さんや楠さんのように、強い思いで行動することの大切さを学びました。
現地に行ったあと、実は「パパママ大作戦」という活動で1人の女の子のママ(里親)になりました。月に1,000円、1年間で12,000円を出させていただいて、その子が1年間学校に通うために必要な文房具を支援させていただいています。

Q.カンボジアを支援する中で得たものや、自身に起きた変化はありますか?

通次
今までは何事も完璧にこなしたい人間だったので、相手にも完璧を求めてしまっていました。ただ、それは相手に何かを求めるばかりで、自分は何もしていなかったことに気付きました。カンボジアの方は、支援のお礼に踊りを見せてくれたのですが、その踊りは本当に「ありがとう」の気持ちが伝わってくる踊りでした。この踊りや感謝の姿勢から人として根本的に大切なことを改めて感じることができましたね。
その気づきは現在私が行っている購買部での仕事でも生かされていて、周りからも「成長したね。」と言われるようになりました。それが嬉しくて有難いです。これからも私たちみんながワクワクとした仕事をしていけるように、日々何をしていくのかを考えて頑張っていきたいと思います。

塚本
良心ってこういうものかと一瞬で自覚できる場所がカンボジアだなと思いました。 1回目にカンボジアに行って、とにかく一生懸命に水が出るまで井戸を掘って、水が出た時に村の人たちが大喜びで寄ってきてくれて、その人たちの喜びと私たちへの期待感を心から感じることができました。日本で1億円の仕事をしても、周りの人たちが喜んで寄ってきてくれることはあまりないと思うんですよね。カンボジアの人たちは、水が出る前から「ありがとう!頑張って!」と応援してくれて、人のために働くってこういうことだなと体感できたことが一番の変化ですね。
あとは、図書館を建てることができました。図書館を建てるのは1人で募金活動をして実現するのはなかなか難しいことです。ですが、企業として全員で取り組むと1年間で建てることができました。企業には、組織力と資金力と人的リソース、そして継続力があります。ですので、グローブジャングルさんのような、現地で心ある活動をしている人たちと企業が一致団結すると、個人で支援するのとはまた違ったフェーズで活動を行えるのが醍醐味だと思っています。


コマニーの皆さんがカンボジアに足を運んでくださる時に、「現場はどうしたら一番いい?」「村の人たちはどうしたいかな?」というようにものすごく寄り添って考えてくださるのです。その気持ちが本当に嬉しくて、必要な支援も確実にサポートしてくださる。そして、通次さんのように、帰ってきて実際に行動に移してくださるので、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです。


プレイクラン村ではみんなの子どもたちをみんなの大人たちが見ているのですよね。日本みたいに自分の子どもだけをみるというような1対1ではないのです。それがすごいなと思って、昔の日本(長屋での生活)ってこんな素敵だったのかなと思いましたね。
グローブジャングルには現在、子育て世代の人が3人いるのですけど、カンボジアのようにみんなでみんなの子どもを育てられないかなと思っています。最初はシェアハウスに7人ぐらいで住んで、私の子どもと私が1対1にならないようにみんなで育ててもらいました。これって本当にいいなと感じました。村のみんなで村の子たちを育てるようなことを、私は実践したいのです。この気持ちが生まれたのも、カンボジアと出会ったことがキッカケです。

Q.これからのカンボジアの明るい未来をつくるために、これからどのようなことをしていきたいですか?


首都のプノンペンは、現在3つ目のイオンが建設されるくらいの都会です。高層ビルも多くできましたし、中国の資本が入ってきて建設ラッシュになっています。お金持ちになった人も多くいますが、プノンペンから1時間離れた地域では、まだまだ生活に苦しむ人たちがいて、経済発展に伴い貧富の差が広がっているのが現状ですね。
アンコールワットがあるシェムリアップは、変わらず今も世界から多くの人が世界遺産を見に足を運んでくださっています。日本の人たちも多く来てくださっていて、会社や日本食のレストランを開業される人もいます。コマニーの皆さんがサポートしてくださっているプレイクラン村は、プノンペンやベトナム、タイへ出稼ぎに行く人が増えています。親の出稼ぎについていって働いている子どもは、小学校高学年や中学生というのが現実ですね。


最近私たちは、ゴールは何だろうということをよく話しています。支援・活動を続けていきたい気持ちはあるのですが、最終的なゴールは、支援という形での日本人の団体がみんな撤退して、カンボジアがもっと発展して、みんなが潤うというのが理想です。
そのために頑張るのは私たち日本人ではなく、これからのカンボジアを作っていく若者だと思っています。ですので、プレイクラン村でコマニーさんが立ててくれた図書館で図書館係を頑張っている中学生や、巣立った高校生が、これからどんな道を描くのか私はすごくワクワクしています。


まず、図書館を作っていただいたことによって、文字の読み書きができるようになった子どもたちが、その絵本を通してさらにいろんな想像を広げていくことができたり、心が豊かになったりしています。また、文字の読み書きが苦手だった子たちも、多くの絵本を頂いたことによって、文字をもっと読めるようになりたいと思うようになり、フリースクールで頑張って勉強しています。ですが、そこに通っている子どもたちの中から1人、2人と出稼ぎに行ってしまっているのです。今ここで私たちが動かなければ、この村の子どもたちはどんどん出稼ぎに行ってしまいます。私たちはとにかく子供たちに未来の選択肢を増やしてあげたい。子どもたちの未来は、子どもたちのものであると考えています。しかし、親がすべて子どもの道を決めてしまっているのではないかと思うのです。
だから、図書館の清掃や本の修繕を頑張っている子たちをプノンペンに連れて行ってみました。すると、イオンなどを見て目をぱちくりさせて、「ここはどこ?」という反応を村の子たちがするのです。その子たちがプノンペンを見学して村に戻ってきて、「いろんな仕事があるんだね」という話になりました。スーパーのレジ係もあるし、お店の中で洋服を売ったりする仕事も、会社もあります。いろんな仕事を伝えていく中でその子たちが、「私たちは英語と日本語とパソコンを学ぶことができたら、そういうところで働けるの?」と考えるようになりました。
もし語学ができたならば、いろんな国の会社の人と働くこともできるし、もしパソコンができたら、その会社でパソコンを使った仕事もできるので、いろんな選択肢を作ってあげることができるなと思い、私たちは今そこにフォーカスを当てています。

塚本
私たち日本で仕事をしている人にとって1人1台パソコンがあるのは当り前のことですよね。でもプレイクラン村にはパソコンがない。私たちは今、当たり前のようにスマホを持っています。もし、村の子どもたちにパソコンを学ぶ機会をつくることができたら、インターネットが繋がり世界も広がります。

通次
私は今のお話を聞いて、私たちの毎日の生活から考えると、当り前じゃないことが多くあると改めて思いました。カンボジアに行かせていただいた時は感謝やいろんなことを考えたのですが、戻ってきて日本で生活していると、いつの間にか忘れてしまいます。でもふとした時に、カンボジアのことを考えることで、カンボジアのために何かしたいと思うことがすごく大事だなと感じることができます。
そして、これからのカンボジアのために私たちは何ができるのか考えた時に、「やりたい」と思う気持ちから生まれる行動は全部正しいと思います。ですので、その思いをしっかりと考えて行動に移していきたいと思いました。

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